<石州流(怡渓派)の平点前の例>
お抹茶を点てる一連の動作のことを、「お点前(てまえ)」といいます。一回のお点前で、2服※のお抹茶をお点てするのにかかる時間は大体15分から30分位です。
(お湯は湧いている状態で、お茶碗にお抹茶の粉とお湯を入れて茶筅でかき混ぜるのにそれ位の時間をかけるわけですから、いかに丁寧であるかが分かるでしょう)。
お点前には、お抹茶をお点てする相手やお道具の種類などによって様々な種類があります。季節によっても、風炉でお湯を沸かすか炭で沸かすかが変わります。
・天目(神様や仏様にお点てするお点前)・台子(だいす)・平棗(平たいお抹茶入れ) ・
・ ・ 等
もちろん、ひとつひとつの動作に意味があり無駄な動きはひとつもありません。四百年間ほとんど変わらない究極に洗練された動きでもあります。
ここでは、ひとつひとつの動作の意味と全体の流れを見ていきましょう♪※お茶会全体の流れについてはこちらをご覧下さい。▶金魚亭「はじめてのお茶会講座」
全てのお点前の基本となる、「平点前(ひらでまえ)」の例をとってご紹介致します。
START!
石州流では、正座は膝と膝の間を拳ひとつ分空けて座ります。侍っぽい!
入り口で、ご挨拶。 石州流では、頭は下げすぎません。あくまでも侍っぽく威厳を持って☆
▶茶室での襖の開け方と締め方について
1.お点てする為のお道具を運び出します。
※あらかじめお湯の沸いた茶釜と、水指し(水が入った入れ物)はセッティング済み。
①お抹茶茶碗とお抹茶が入った棗を運び出して、釜の前に置きます。お抹茶茶碗には、茶巾(お茶碗を清めるふきん)と茶筅(お抹茶を点てる竹製のホイッパー)、茶杓(お抹茶をすくう竹製のスプーン)が組ませてあります。
②建水(いらない水を捨てるための器)に蓋置き(釜の蓋を置く為の、短い竹の筒)を入れ、柄杓を置いたものを運び出して脇に置きます。
2.お抹茶を点てる為のお道具たちを清めていきます。
③お抹茶茶碗と棗を自分の前に移します。
④「袱紗さばき」をします。腰に付けた「袱紗(ふくさ)」という絹の布を外し、さばいてお道具を拭きやすい形に折りたたみます。
最終的に、6角形のこの形に!
⑤袱紗で棗を清めます。
⑥袱紗で茶杓を清めます。
この時に、節を眺めます。
⑦柄杓でお湯を汲んでお抹茶茶碗に入れ、いったん建水に捨ててお茶碗をゆすいだら、更にもうひとつお湯を入れます。
⑧「茶筅通し(ちゃせんとおし)」をします。茶筅の穂先をお湯に付けて軟らかくし、3回に分けて少しずつ回しながら目線の先まで持ち上げて、穂先が折れていないかをチェックします。
⑨お抹茶茶碗の中のお湯を捨てたら、茶巾で清めます。折りたたんである茶巾を長細く引き出し、先を茶碗のふちにかけてお茶碗を3回時計回りに廻しながらふちを一周ふきます。
3.いよいよ、お抹茶を点てます。
⑧棗の蓋を開けて茶杓ですくってお抹茶を2つ半入れ、茶杓の先の背でだまをトントントンと(横に3回×3列)の合計9回つぶして、お湯の通りをよくする為に茶杓の先で数字の「三」と「川」の字を描きます。茶杓をお茶碗の縁に軽く当てて、先に残っているお抹茶を落とします。
⑨柄杓でお湯をすくって、お抹茶茶碗に7分目分を入れ、残りは釜に返します。
⑩茶筅でお抹茶を点てます。
最後は、お茶碗の中で「天」「地」「人」と描きます。石州流では。千家では、ひらがなの「の」の字です。
4.点てたお抹茶を、お客様にお運びします。
お抹茶茶碗を持ち、膝に置いて向きを変え、お客様の方向に向いてお出しします。
お運びの方がそれを取り、お客様の前までお運びします。
お茶会では、お抹茶の前にお菓子が出ます。
▶お茶会でのお菓子の頂き方については、「はじめてのお茶会講座」で。
4.お抹茶を頂きます。 お客様の頂き方も丁寧だ!
運んで下さった方とお辞儀を交わします。
隣のお客様に、「お先に」と言ってお辞儀をします。
お抹茶茶碗を右手で取り、左手の平の上に載せます。
左腿の上に置き、お抹茶の表面の泡立ちや色を眺めて目でも楽しみます。
頭の上に少し掲げてから、一口頂きます。
お点てして下さった方に、「けっこうでございます」と言います。
数回に分けて、飲み干します。
一番最後は、「吸い切り」といって”ズッ”と音を立てて飲み干します(これは、無言で「飲み終わりましたよ」という合図になります)。
空いたお茶碗をお下げしに来てくれるので、お辞儀を交わします。
さて、無事にお客様にお抹茶をお召し上がり頂きましたが、まだお点前は終わりません。
後片付けも、丁寧に♪「おしまい」のお点前というのが続きます。
次客様のためのお抹茶をお点てしますが、ここでは繰り返しになるので省きます。丁寧じゃないなあ~(たまちゃん)
5.おしまいのお点前
おしまいのお茶碗に、釜のお湯をひとつ入れます。
「茶巾絞り」をします。茶巾を広げ、全てのしわを取り、軽く絞ってからまた元のように折り畳んでできます。
お水をひとつ釜の中に入れます。
この時、しゅうしゅうと音を立てて湧いていた釜のお湯がしんと静まります。この時に、「永遠の静寂」を感じられるんじゃよ・・・。
「湯返し」をします。お水をもうひとつ釜の中に入れ、途中でお湯と混ぜて上から落とし、しゃらしゃらという涼しげな水音を楽しみます。
釜のふたをします。
お茶碗と棗をお下げします。
建水と蓋置き、柄杓をお下げします。
おしまいの挨拶をします。
ここまでの流れで、大体15分前後でしょうか…。一服のお抹茶をお点てするのに、大体それ位の時間がかかるということですね。
他にもお点前が始まる前に「お床(床の間)拝見」冬場なら「お炭拝見」があったり、途中お正客様が亭主に色々と質問をしたり会話を交わしたり和やかな時間が流れます。
大勢が参加する大寄席の茶会なら全員がお菓子とお抹茶を頂く時間が加味されますが、一回のお茶会は大体ですが30~40分位のものが多いのではないでしょうか。
最後に、「お道具拝見」の時間が設けられ、お茶碗・棗・蓋置き・茶杓が並べられておくのをお客様が手に取って拝見できることもあります。
▶覚えておきたいお茶室でのマナーについて。お道具拝見の時の基本姿勢は、コレだ!
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